2018.02.01 10:51|


「友よ、最上のものを」戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて―― 平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった―― 戦前、戦中、戦後という激動の時代に、情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描く


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2018.01.24 14:12|


天平9(737)年に起こり、平城京の人口の半数近くが失われた“パンデミック(感染症の大流行)。奈良時代に起こった天然痘の大流行と、それに立ち向かう人々について書かれた物語。

施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺…



好きな作家さんです。2年前ぐらいに同著者による『孤鷹の天』で傾倒し、『泣くな道真 -大宰府の詩』『関越えの夜 東海道浮世がたり』『若冲』などを読んでいます。

「火定」とは、僧が自ら火に体を投げ入れて死ぬことを言うらしい。

本作はだめでした。重たすぎる。もともと医療物が好きではないからなのか、医術は何たるものかを解かれても嘘っぽくきこえました。闘病してきた私があれこれいうのは不遜かもしれません。信頼できるドクターに出会えていないと思うのは、私の感謝心が足りないからかもしれません。

これまで通り医療物は読まないことにします

2018.01.17 14:30|


(昨年の11月22日にアップした記事に追記)


門井慶喜さん、直木賞受賞、おめでとうございます!

気に入った本が受賞できて心から嬉しいです。

この本を図書館に返却した折に司書さんにもおススメしてました。そして次に会った時に「良い本を紹介してもらってありがとうございました」とお礼も頂いていたのでした。


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2018.01.14 12:02|

2016年10月に逝去した登山家・田部井淳子。男女差別が色濃い時代、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した彼女は、どのように生き、どのように山に魅入られたのか―その物語を完全小説化。山を愛し、家族を思い、人生を慈しんだ淳子が、その“てっぺん”に至るまでの、辛く苦しくも、喜びと輝きに満ちた日々。すべての女性の背中を優しく押してくれる


読み初めに相応しい1冊でした!

フィクションだけど、田部井さんのてっぺんっていったいどの山なんだろう?とページを開きました。

それは固有の山ではありませんでした。夫さんが「淳子のてっぺんは家族が待っている場所。だから必ず生きて帰って来い!」と、初海外遠征登山アンナプルナに行く時に、声をかけた言葉。今から40年も前の時代に山家同士の結婚とは云え、夫さんが凄いんです。仕事でもない山行のために、1年近く家事や育児をも請け負うのですから(彼は海外初遠征時に凍傷し足の指を四指切断している)。

何と言っても、女性だけで初めて挑んだアンナプルナⅢ峰登山の記録が、きれいごとの成功譚じゃなく女同士の葛藤をも書き切ってあるのに好感を持ちました。グループメンバーは準備段階からもめ、登り始めてからもいがみ合う。アンナプルナでは、頂上へのアタックメンバーに選ばれなかった女性登山家の感情が爆発する。<こんな侮辱は初めてよ><東京に帰ったら山岳会や協会に訴えてやる!>とかの言葉が真実味を帯びています。こういう事例は女子特有だからではなく、男性の登山隊でも聞きます。本の中でも夫さんが落胆した淳子さんを励ましています。

そういうことを通して、いつも私が感じていた事と同じ結論に達されているのが嬉しかった。

「登山に何が必要か

体力と技術だけではない。自己マネージメント力、他者への協力精神、そしてユーモア。特殊な環境に身を置く中でいかに自分の心と身体をコントロールできるか」

登山だけではなくすべてに通じることでしょう!

山で培った自己マネージメント力を更に磨きたい私です。


2017.12.28 15:23|


「またロンダリングをやってくれないか」。事故物件をロンダリング(浄化)する人達、それに関わる者が次々と相場不動産を去っていく。背景に妨害工作の動きを察知した調査役の仙道は、ある事実を突き止める。不審に感じた仙道は調査を始めると、その背後に共通したある人物がいることを突き止める。


東京ロンダリング←(過去ブログに感想を書いています)の続編。2011年に出版されてから5年ぶりに書かれた本作も力作でした。

「失踪は人間が集団生活を送る上で、なんらかの必要性を持ってプログラミングされた本能だ」と語らせている文章に、へぇ~と思わず声を上げてしまいました。”失踪”には苦しい現状から逃避する卑怯手段のようなマイナスイメージしかなかったから。

作中には自己啓発の本やセミナーに参加して失踪後に自殺したり、また再び何事もなかったようにもとの場所に戻っていくパターンの失踪者らが登場します。

数年前からブームとなった自己啓発、関係する本が書棚に並び胡散臭さを感じずにいられなかった気持ちを、代弁してもらったよう。すべてが指摘された通りにうまく運ぶわけがない。実行出来ない自分を責め、やっても適わなかったら破滅する道に行かざるを得ない場合もあるだろう。

人間、遮二無二に頑張らずに程よく息抜きしながら生きていこうよと、本作は言っているのだろう。

誰しにも多かれ少なかれ失踪への憧れが潜んでいるのかもしれない。


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