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2024.03.03 15:35|映画と本
著者 :
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
発売日 : 2023-03-29
1950年代のロンドン、戦争で夫を亡くし未亡人となったハリスは働き先で美しいドレスに出会う。そのドレスは、初めて聞くクリスチャン・ディオールというブランドのもので、450ポンドと高価なドレスだった。ドレスの美しさの虜となった彼女は、ディオールのドレスを購入するためパリへ向かう。そこでは新しい出会いが彼女を待っていた。

主人公ハリスの年齢はたぶんアラカン頃。超豪華なドレスに450ポンドも支払うなんて(日本円にして現在の約250~500万円)とてもできないよぉ~。庶民だったら、老後の資金を貯めても1枚のドレスに高額なお金を支払うなんて思いもつかない。ハリスは当時のイギリス階級社会で家政婦として働く中で節約した暮らしを続け舞い込んだ幸運を味方につけついに目的額を達成。ハリスの大らかな人柄と無鉄砲さがたまらない。ハリスは1枚のドレスに魅了されただけではなく、上流階級の人々に一矢を報いる。パリのストライキ闘争やディオールの職員を焚きつけ、ついにはオート・クチュールを変えていく展開が小気味よいのだが、一方ではパターン化された出来すぎのような気もする。
ところが、映画を観終えて原作をググってみて納得がいった。原作はポール・ギャリコの『ハリスおばさんパリへ行く』だった。本作の”ハリスおばさんシリーズ”は4冊あり、その後に『ハリスおばさんニューヨークへ行く』『ハリスおばさん国会へ行く』『ハリスおばさんモスクワへ行く』を出し、ハリスおばさんはパリを足掛かりに国会やニューヨーク、ましてやモスクワまで殴り込みをかけているのだ。「ハリスさん、素晴らしい!」の一言を添えたくなった。
しかも驚いたことにポール・ギャリコは4冊のシリーズの途中に『ポセイドン・アドベンチャー』を書いていたのだ。半世紀前に観た大好きな映画の原作者でもあったと知り嬉しくなった。映画に登場した老夫婦の元気なおばあちゃまを思い出した。彼女は、皆が心配そうに見守る中で、若い頃は潜水が得意だったと言いながら大きく息を吸い込んで海面に潜った。ハリスと彼女がだぶって仕方がない。
ミセス・ハリス、パリへ行く (角川文庫)ジャケ写
2018.12.06 10:31|映画と本


最近では刑事や探偵が何だかの病気で動けずに、現場は別な人物が動くという設定は珍しくない。本作の原作を読んだのは数年前だっただろうか。この作品が出だしだったようにも思える。
原作の感想が好感触だったので、テレビでオンエアーされているのを録画して観ることにしました。

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2017.06.12 14:55|映画と本

夫が現役を退いて私の生活スタイルも影響を受けDVDを鑑賞する時間がなかなか難しくなりました。読書する分には人影があっても構わないのですが、映画は一人でゆっくりと鑑賞したい私です。

5月に読んだ本

みかづき(森絵都)☆☆☆★

まりしてん誾千代姫(山本兼一)☆☆☆☆☆

書店ガール(3、4)(碧野圭)☆☆☆☆☆

4月に観たDVD

のぼうの城☆☆☆☆☆

コンタクト☆☆

最高の花婿☆☆☆☆



2016.05.04 18:15|映画と本

小さい


ファンでもある黒木華さんがらみで、「小さいおうち」をケフコさんのブログで読ませて戴きました。映画は1年ぐらい前に観て好印象だったのに忙しさに紛れて書き落としたまま。幸いにも、原作を読んだ感想を5年前に書き留め他のブログに残していました。

原作を読んだ後に映画化されたのは知っていましたが、私のイメージを大事にしたいと映画はしばらく観ませんでした。 たぶん4年ぐらい経った頃に鑑賞したのでは?白い割烹着でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したタキ・華さんを観るためだったのに、意外にも主役を演じた時子・松たか子さんの存在感が大きかった!2人とも素晴らしかったと思います。 



物語は東京西部にある赤い三角屋根の洋館に働いていた女中、タキの回想で書かれています。
東京の中流よりも少し上のクラスの庶民の人たちの暮らしぶりが描かれていて、時代は昭和の初期の時代なのに、不思議と懐かしさと新鮮さを感じてしまいました。戦争が忍び寄る暗い時代背景の中で、意外にも元気にイキイキと日々をすごす人々らがいるのは力強くも感じられました。
7章まではタキが仕えた平井家の時子奥様とその坊ちゃん、おもちゃ工場に勤務する旦那様と4人の生活を中心に、回想録の形で女中奉公の記憶をつづりますが、時々その回想録を甥である健史がこっそり読むという構成になっています。
淡々としたタキの回想が気持ちよく流れているのを、茶々をいれたような健史の言い分がその流れを断ち切っているのは紛らわしいなぁ~。単に現在と昔を比較しているのだろうと思いきや、章を追うごとにこの健史が重要な役割をなし思わぬ展開をもたらします。
最終章で、健史はタキが亡くなった後、洋菓子の空き缶の中からタキが平井家の家族と一緒に写った写真数枚と和紙の封筒を見つけます。裏に平井時子とあるだけで宛名が書かれていない美しい封筒でした。タキが生涯隠し続け後悔してきた真相が明らかになった時、胸が詰まります。タキが慕っていたのは、時子が思いを寄せていた板倉だとばかり思っていたのにそうではなかった・・・。意外な真実に驚き、なるほどと中島ワールドの上手さに舌をまかずにはいられません。

イタクラ・ジョージの記念館も実際にあるような気にさせてもらえる仕掛けは素晴らしい!中島京子さんの作品の中で一番好きな作品です。やはり第143回直木賞を受賞していました。
同じ題名でバージニア・リチャード・バートンの「ちいさいおうち」という絵本が登場しますが、たぶん中島京子さんは同タイトルの絵本からヒントを得この作品を書かれたのでしょう。久しぶりにこの絵本に出会えたのも思いがけず嬉しかった

(2011年・12月22日)




2016.04.25 13:10|映画と本
ゆうじょこう
駆け込み女



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