2012.04.30 14:18|
札付きの悪ガキ少年、リー・カーターが編集された映画を観て涙を流すラスト・シーンにじーんと来てしまいました。

私には、ウィルの置かれた環境より、両親が不在で兄と2人きりで暮らしているリーが気になって仕方がありませんでした。年が離れた兄貴は弟を可愛がるどころかいたぶっているような態度なのに、兄の食事の世話などと献身的なまでの尽くしぶりに、どうしてそこまでやんなくちゃいけないのとしだいに不満が募っていったのです。
でも、ラストにやっと謎が解き明かされました。仲たがいしウィルがお兄さんの悪口を言った時、俺の悪口は許されるけれど兄貴を悪く言うのは絶対に許さないとリーはいいます。
そして「兄貴は絶対に俺から逃げないで、ずっと俺と一緒に居てくれるから」と・・・。
この言葉に、彼の奥深い孤独を感じずにはいられません。父親はウィルが生まれた頃に居なくなり、その後母親は再婚し、子供たちを置いて再婚相手の住むヨーロッパに住んでいたのです。

大切な人と向き合う原点を諭された気がします。逃げたらいけないのだ、相手を守りたいならば傍にいてやることから始まるのかもしれない。
でもそれは本当に難しいことです。
ウィルの母親が宗教に拠り所を求めていたのも逃避でした。まやかしの神頼みではなく、苦しんでいる生身の子供の声に耳を傾けるべきだとウィルの母親は気づきます。
老人ホームの設定にもそんな暗示が含まれているように思えました。
リーを演じたウィル・ポーターの顔立ちにどこかで会ってるはずだと記憶の糸を手繰り寄せてみると、ナルニア国物語アスラン王と魔法の島に従兄弟役で出演していたのですね。ここでも似たような素直になれない役を演じています。どんなふうに成長していくのか見守りたい小さな俳優さんです。
2012.04.26 14:30|

今日までがレンタル期限日となっているのに、パソコンのリカバリーなどで未見のまま。
今から観ることにしよう。でも記事にするのはだいぶ遅れるだろう。
明日からまた忙しくなる・・・。
2012.04.13 18:40|
原作者が長崎出身のカズオ・イシグロさんだったのもあって(日の名残りもそう)、何年か前に本を読みました。でも、臓器移植のためだけに生まれてきたクローンの子供たちの設定があまりにも辛く途中で投げ出しています。結末がずっと気がかりだったのですが、昨日聴いていたラジオでお勧めの映画と聞き、ここは勇気をふるってレンタルしてみました。
 

寄宿学校「ヘールシャム」で学ぶキャシー、ルース、トミーの3人は、小さい頃からずっと一緒に暮らしています。外界と隔絶した学校で、
保護官の元、子供たちは絵や詩の創作をしています。一見、学園物風だけど飼いならされたような子供たちの表情に違和感を感じずにはいられません。後から考えると、それは生後まもなく続けられた教育の成果だったのか、与えられた運命をすでに受け入れているようにも映りました。
彼らは臓器移植のためだけに生まれてきたクローンの子供たち。18歳になり寄宿学校を出て農場のコテージで共同生活を始めます。キャシーはトミーに惹かれていましたが、やがてルースとトミーが恋を育むようになり、キャシーは孤立していきます。将来は希望に応じて介護人として仲間の介護に当たる職業も用意されていますが、いつかは臓器提供者となっていく運命を背負っています。介護者を希望した
キャシーの静謐な語りで映画は淡々と進んでいきます。
コテージを出て離れ離れになった3人は、逃れられようのない運命に直面する事に…。
 映画に何度も使われていた『終了』という言葉に嫌悪感を抱きました。なんて残酷な表現だろう。臓器提供を2、3回済ませ生涯を閉じる時、彼らは死ぬのではなく終了させられるのです。ルースやトミーが最後の臓器提供を終える手術lシーンは何ともいえませんでした。
結末は予想通りで無力、絶望を否応なく味わされる映画でした。
 

感情を抑えた3人の若い俳優たちの演技が光りますが、寄宿学校の責任者を演じたシャーロット・ランプリングの存在感に圧倒されました。ラスト近く、本当に愛し合った2人には猶予期間が与えられるという噂を信じ、申請に行ったトミーとキャシーに彼女が投げつけたことばは「絵を描かせたのは、クローンに心(魂)があるのかを知りたかったから」でした。
愛の嵐」で彼女を初めて観た時もあの眼に射抜かれました。一度出会ったら忘れられない眼ー、薄い虹彩は冷ややかで健在でした。
2012.04.05 15:57|
今さら私がレビューを書くまでもない素晴らしい映画だった。あれこれ感想を書くよりも主人公が父親に言った言葉を書きとめておこう。
「僕達、見解が一致しない事柄がある。
 いや、ことごとく全ての事で一致しない。
 でも、僕もひとかどの人物になれるはずだ。
 オヤジと異なるからじゃない、同じだからだ。
 同じくらい、分からず屋で強情だ。
 同じくらい、良い人間になりたい。
 確かにブラウン博士は偉大だが、ヒーローじゃない」
 
再見だったけれど、初見よりずっとずっと見応えを感じた。

最近の親は物分かりが良すぎるぐらい子供に甘くはないか。私が小さい頃両親は頑固で分からず屋で立ちはだかる壁だった。そこから逃れたくて、一日も早く大人になり家を出ることを夢見ていた気がする。今思えば、育った時代が異なるのだから価値観が違って当たり前なのだ。ぶつかって当然なのに、理解したふりをしているのか争うことを避けようとしているのか、
すんなり分かり合う親子関係の多いこと。意見が衝突しあれこれケンカを繰り返すうちに自分の気持ちや周囲が見えてくるものだろう。居心地の良さにいつまでたっても独り立ちできないこともある。
中学校の教科書にも載るほどだから、良きアメリカの理想的な家庭を描いてあるのだろうが、父親と同様、専業主婦である母親も素晴らしかった。落盤事故が起き夫の生存がはっきりしないのに家でじっと推移を見守る冷静な強さ、自分の息子を信じている姿など、私にはとてもとても無理な話・・・。すでに子育てを終えた私は、あれほど子供を愛せたか自信はない。
ラリー先生だって生徒を思う気持ちが強い教師だった。
ホーマーは申し分のないおりこうさんな男の子だが、クエンティに興味がある私でした。6年後、ホーマー役のジェイク・ギレンホールが「ブロークバック・マウンテン」で同性愛の男性を演じ周囲の差別の中で葛藤する姿を見せます。背景にある山々も息を呑むほど美しくこの映画も良かった!
 
 
2012.04.03 17:47|
若い頃の感情を表に出すような激しい恋ではなく、しっとりとした恋を見せてもらえた。さすがフランス映画と思える大人の恋愛映画。
主人公は父親から継いだ仕事をするだけの毎日を送る、50歳過ぎの冴えない中年男、ジャン・クロード。彼は老人ホームに入所している高齢の父を時折り見舞うが、何故かいつも喧嘩別れとなってしまうのだ。別れた妻との間にもうけた一人息子も彼の仕事を手伝っている。しかし司法執行官の職務を好きになれないで、仕事をやめると父に言い出せないまま。たぶんジャンクロードだってそうだったのだろう。
医者に運動不足と云われ、彼は思い切ってタンゴ教室へ通うことにした。そこでフランソワーズに出会う。彼女は結婚を目前にして幸せなはずなのに、婚約者との気持ちがすれ違いどこか満たされずにいる。彼女の年頃も40歳ぐらい。
 

2人の、特にジャン・クロードを取り巻く設定が自分の年齢に近く重ね合わせることができる。
フランソワーズから彼に近づくのも大人の恋を感じさせた。不器用なジャン・クロードが自分の気持ちをなかなか言い表せないのがもどかしい。情熱的なタンゴに不似合いな彼が踊るタンゴはぎこちない。でもそれが好いのだ。官能的なタンゴの踊りが、まるで彼の気持ちを代弁してくれているようだ。フランソワーズの彼に委ねた手やうっとりとする表情が、彼を求めてやまない気持ちを思わせる。「愛している」「好きだ」とかいう言葉が使われないのに、2人の熱い感情がぐっと伝わってくる。
ジャン・クロードの事務所で働いている年の入った独身女性が、いじけている彼に、けしかけるように忠告するのも微笑ましかった。彼女は盗み聞きしていて、フランソワーズが「友だちのままでいましょうと言っているのは本当の気持ちではない」と教えてやるのだから・・・。
クロードと父親との別離もさらっと描かれていたが胸に迫ってくる。きっと素直になれない不器用さは父親譲りだったのだろう。クロードは息子に「この仕事が嫌だったら辞めてもいい」と言えるほど、変わった。
『家族だったら黙っていてもわかってくれるはず』は在りえない。それは甘えにすぎないのだから、後悔しないようにもっともっと言葉を尽くす必要がある。
少年少女の成長物語のような、50歳中年男性の成長物語でもあると思った。 
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