2012.11.02 14:36|
前から気になっていた作家さんでしたが、書店で立ち読みしたり図書館で手に取ったりして読んだ限り、どうしようもなく悲痛な印象がぬぐえなくて止めていました。ところが2年前の山本周五郎賞受賞作品だったと知り食指が動きました。(直木賞 とこの受賞作品とは相性が良いので)。

 全部で6章から編まれていますが、全く違った話に登場人物が繋がっている短編連作集となっています。数日前、3章までの予想以上のどん暗い展開に耐えられず閉じてしまいました。これほどまで救いようがない主人公たちを書くのだろうかと後味の悪さに辟易しました。
 でもストーリーに絡まる虫や植物の引用話が面白くて捨て置くことができなくて・・・。
読む本が手近になく、1章ごとだったらその暗さに耐えられそうだったので分けて読む事にして、4章「春の蝶」からまた読み始めました。すると少しづつ光が射し始めているではありませんか!ついつい5章「風媒花」、最終章の「遠い光」まで読み終えてしまいました。
最終章で、2章で罪を幼い兄妹になすりつけていた男が自首してくれてほっとしました。虫の世界の素晴らしさを子供に教えた男は決して悪い男じゃなかったから・・・。
「風媒の花は綺麗な外見をしている必要がないの。わざわざ自分を飾って虫を集める必要がないでしょう?風はべつに綺麗な色とか目立つ形に惹かれて吹くわけじゃないんだから・・」3章で友恵がいったことばに思い当たります。
花を追いかけていた私は「花は生殖器の形をしている」という植物学の本を読んで以来、白けてしまいました。

3章で風媒花として取り上げられているカヤツリグサは蜻蛉草(とんぼぐさ)とか升草(ますぐさ)とも呼ばれている身近な花です。
本作品は2007年から2009年の2年間に渡り小説すばるに書かれていますから、著者の心境の変化もあるのでしょうか。
光媒の言葉は辞書にもありませんからこれは著者の造語であって、もしかすると「光媒の花」とは蝶のことかもしれないと思いながら読み終えました。
http://www.shueisha.co.jp/koubai/interview/index.html←本作に寄せた著者のインタビュー
 
 
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