2013.08.30 16:37|
 

2008年フランス製作
ヒューマン・サスペンス
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ダイアン・クルーガー/ヴァンサン・ランドン/ランスロ・ロッシュ
 
国語教師であるジュリアンと編集者であるリザは、一人息子のオスカルと共に平凡ながらも幸せな生活を送っていた。しかし、ある朝、彼らの人生が一変してしまう。警察が突如として家に押し入り、リザが上司を殺した容疑で逮捕され、投獄される。やがて三年の時が経ち、リザに二十年の禁固刑が宣告されてしまう。無実の罪を必死に主張するリザであったが、状況証拠などから、誰もが彼女の罪を確信していた。夫・ジュリアンを除いては…。彼女の人生に残されたのは絶望だけだった。次第に衰弱し、精神も不安定になっていくリザ。一方で、ジュリアンは諦めなかった。悩んだ末に、彼がとった行動とは
 
ホラー占いの結果で出た「MAY」を期待してレンタル店に走ったのですが、パッケージに拒否反応を起しました。ならば次点の2作に挑戦しようと借りて帰った「THE EYE」「?」にも撃沈。手術などの出血シーンは、先ほど手術を受けたばかりの私には無理だったみたい。
たまたまオンエア~されて録画していた「すべて彼女のために」を観たところ、これこそ私にとっての恐怖の世界でした。
 
無実の罪で投獄されることほど怖いものはないと日頃から思っている。ある日不利な状況証拠が偶然に重なり思いがけず逮捕される。家族の誰かが、こんな風に冤罪に巻き込まれてしまうと想像しただけでも恐ろしい。
「平凡な男だ」と刑事を言わしめたのは冤罪で妻を逮捕された夫。妻が逮捕されるまで彼は平凡な国語教師だったがだろうが、彼は平凡な男から変貌する。愛する妻が無実の罪で投獄され、彼女を取り戻すため、すべてを捨てる覚悟で脱獄計画を練り上げ実行していった。冤罪事件の場合、無実を主張するか若しくは真犯人を追及するかのサスペンスフルな展開になるのだがそうではなかった。現行の法で妻を救えないと知った時、主人公(夫)は正義を求めるより、法律や国家に見切りをつけ、妻を脱獄させ自由にさせる道を選んだ。凡庸な男が、不可能としか思えないことを決意し、実現させるために裏社会と取引し危険な橋を渡っていく過程は観ていて切ない。脱獄に関する本を読み、その著者に会ってアドバイスを求める。その著者が「脱獄に成功しても、その後が問題だ」と、ジュリアンに最後に与えた忠告が、ラストの場面で思い起こされた。脱獄に成功し高飛びできたシーンを観ても決して手放しの安心感は感じられなかった。たどり着いた新天地で3人が無事に生きのびれるかどうか不安が残る。
ジュリアンの計画を知った両親の複雑な思いも悲しいぐらいに伝わって来る。
1時間半という適切な上映時間もgood!スリリングさを途切れさせず最後まで観客を引っ張っていく適った時間だろう。
 
2013.08.20 15:22|

 
山田監督が小津安二郎監督に捧げた映画。
この直前に「マリーゴールドホテルで~」を観たばかりなので、主人公たちの年齢も似かよっている彼らが、夫婦二人で遠住みの子供たち夫婦や息子、同郷の友人に会いに行く設定が大きく隔たっているように感じられた。
たぶん、東西の文化の違いばかりが理由ではないだろうが・・・。
登場する子供たちは決して冷たく描かれていない。長男や長女は自分たちの生活を優先し、父親周吉から疎んじられていた次男がその恋人と共に周吉の面倒を見て寄り添ってやる。どこにでもありふれている日本のパターンにも思えた。
母親や妻の死を淡々と受け入れ、また前に進みだす家族たち。どちらが良いとか悪いとかでいうのではなく、これも又人生を送る方法なのかもしれないとしみじみ思えて来る。
先週テレビ番組でやっていた集計結果が意外で驚いた。世界で日本人が墓参りをするのは最下位で、各国に比し祖父母を愛おしい気持ちも低かった。信じて疑わなかった「美しい国、日本」は刷り込まれた幻想だったのかもしれない。実際自分の胸に手を当てて考えてもそうなのだ・・・。
「この国はどこで間違ってしもうたんじゃろうなぁ」「 もうやり直しはでけんのかいな」繰り返しながら、酒場で旧い友人と禁酒していた酒をあおりながら愚痴を言う周吉のシーン。3、11後撮られ直したと云われるこの作品、監督の一矢報いたいセリフだったのだろう。
 
 
2013.08.17 17:05|

2011年 イギリス・アメリカ・アラブ首長国連邦合作
インドの風がささやいた。やりたいように、やればいい。
監督:ジョン・マッデン
ジュディ・デンチ イヴリン
ビル・ナイ ダグラス
ペネロープ・ウィルトン ジーン
デヴ・パテル  ソニー・カプー
セリア・イムリー  マッジ
ロナルド・ピックアップ  ノーマン
トム・ウィルキンソン  グレアム
マギー・スミス  ミュリエル
 ホテルのオーナーソニー デグ・パテル
「神秘の国インドの高級リゾートホテルで、穏やかで心地よい日々を」という謳い文句と美しいガイド写真にひかれて、イギリスからインドにやって来た未亡人イブリンら、それぞれの事情を抱えた男女7人。しかし、彼らを待ち受けていたのは「近いうちに豪華になる予定」というオンボロのホテルと刺激的すぎる異国の文化だった。
 
前評判を聞かずに観ていたらもっとナイスな映画だっただろう。期待度を高く持ちすぎて観賞するからこんなことになるのだ。群像劇は苦手、今回はホテル客らが主人公だから仕方ないかなぁ~。キャストはイギリス屈指の名優ばかりで、もうじき似たようなお年頃を迎える私にとって、盛り込んである逸話の素材はどれをとっても身につまされる話だった。それだけに、登場人物を絞りこみ、少ない彼らをじっくりと撮って欲しかったと悔やまれる。
印象に残ったのはミュリエル(マギースミス)の逸話。インドそのものを毛嫌いしている彼女は、股関節の手術を安価で早く受けようとインドで手術するためにホテルへ宿泊することにした。「上手な掃除の遣り方を教えてあげる」と一人のメイドに声をかけた。メイドはカースト制度の下ランクに位置していて、英語が話せず通常声もかけてもらえない身分だった。実は、ミュリエルは元メイド頭として信頼を得ていて、雇い主に頼まれ新米メイドを指導し一人前にしたのだが、その結果彼女はお払い箱となlった過去があった。声をかけられたメイドは感激のあまり家へ招待し、互いに心を開いていくのだ。
インドはIT立国にのしあがった反面、まだカースト制度に縛られているのか!混沌とした実態を浮き彫りにしているシーンがたくさん見られ、溢れる生命力がほとばしるインドの魅力を感じさせられた。ミュリエルは人種的偏見から解放され、ソニーにホテル再建へのヒントを与え手をさしのべ、ホテルで重要なポストを任せられることになった。
判事だったゲイであるグレアムの忘れられないインド人男性へ対する想いとその結末も胸に迫るものがある。
「インドでは生きることは権利でなく恩恵なの」の言葉も深く刻まれる。
「最後は大団円」を現実にした若い実業者・ソニーの変容も決して忘れてはいけない。主演した「スラムドッグ$ミリオネア」は好きではなかったけれど、ソニー役のデグ・パテルには好感が持てました。
2013.08.17 16:32|

 
2011年
フランス
 
パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞
 
最強に感触の優れた作品でした。障害者と介護人の話をコメディタッチを含めながら魅せるという映画仕立ては難しい。でも、この作品はモデルとなるフィリップとドリスが良かったのか、やってのけましたね!育った環境や裕福さが正反対なふたりが異なる音楽の趣味や芸術について遠慮せずに言い合うシーンは嫌味がありません。腕白坊主がそのまま大人になったようなドリスこそ穢れなき男かもしれない。障害者を特別扱いすることがどれだけ相手を傷つけることなのかという大上段なカメラ視線は全くありませんでした。ドリスは専門的に学ばなくとも、育って来た環境の中で自ずと培ってきたのでしょう。彼が養母を想い、養子先である複雑な家庭事情をさりげなく映したのも良かったと思います。
面接で一見がらの悪いドリスを選んだ眼力もなかなかで、真に育ちの良い度量が備わったフィリップも可愛いい素敵なジェントルマンでした。
似たようなアメリカ作品もありますが、外連味のないフランス映画が何枚か上手です。
 
2013.08.14 17:22|

今夏のジブリの作品のコマーシャルは鼻につきます。(実際に観ないことには何とも言えませんが・・・)。原作の堀辰雄著「風たちぬ」は小学生時代に読んで結核を患った若いカップルのはかなく美しい恋愛物語としてしか残っていません。読み直さなくてはと思いつつ、ジブリの「風たちぬ」はどうなっているのだろうかと思っていたら、たまたま山口百恵と三浦友和コンビでやっていて、オンエアーで観ました。(ちっとも興味がなく観ていないシリーズ)
若い2人サイドでなく、どうしても両親の立場や時代背景などを考えてしまいました
。あの時代に生まれた人たちは、巡り会わせが悪かったで片付けられないものがあります。戦争にまっしぐらに向かっている時代の狂気に、反対を言えない辛さは想像しただけでもおぞましくなりました。現代だって同じかもしれません。それ以上に、叫んでも無駄だという虚無感にアクションを起こす気力さえ萎え、目をつぶり逃げてしまっているような気すらします。
今朝の新聞で知ったのですが、日本人戦没者の軍民は300万人で、戦争末期に激増し最後の一年間に200万人近くが落命しているんです。しかも特攻、沖縄、空襲、原爆はなどの悲劇はこの間に起きていました。
 NHKでの零戦の取材番組も観ました。
日本の零戦は機体もフライパンより薄く造られ、操縦者を守る手立てはまったくないのです。それに比べアメリカのグラマンは14倍の厚みで造られ、何よりも操縦者本位に設計されているのです。軍部の命令とは云え、あまりにも酷な設計ではありませんか!
『風立ちぬ、いざ生きめやも』はフランス人ポール・バレリーの詩『海辺の墓地』の一節から、堀辰雄が引用したエピグラフ。文法上あれこれ云われますが、「風が立った、さあ生きなければならない」という意味で、生きることへ自分を励ます強い意志を顕した言葉として、爽やかに響きます。
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