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2017.02.24 11:26|映画

        

THE DANISH GIRL 

イギリス アメリカ ドイツ       

監督 トム・フーパー

1926年デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は、同じく画家の妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に女性モデルの代役を依頼される。その際に、自身の内面にある女性の存在を感じ取る。それ以来リリーという女性として生活していく比率が増していくアイナーは、心と体の不一致に悩むことに。当初はそんな夫の様子に困惑するゲルダだったが、次第に理解を深め……。


「アイナー、今の時代に生まれていたらこれほど苦しむことはなかったのに!」と、そんな感想を持つのは甘いのだろうか。性別に女、男だけでなく、どちらにも属さない性があると言ったのは誰だったっけ?ほう、時代も進んだと驚いたのは1月のあるテレビ番組を視聴していた時だった。多種多様な生き方が認められる時代になったとはいえ、オネエ系キャラがマスコミ受けする一方では、偏見で職業や結婚ができない一般的なトランスジェンダーの苦悩も新聞などで報じられている。

世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家アイナー。

その彼を支え続けた妻・ゲルダが素晴らしい。夫が、もしかすると自分は女なのかもと思い始め服や下着、お化粧にとどまらず、真の女性になるために性別適合手術まで受けようとするまで向き合い、また彼の決意を尊重して、雄々しく励まし続けた。いつしか夫婦愛を超越して究極の愛と友情の絆で結ばれる関係性に到達していた。

あれだけ婚姻したお互いを深く尊重し思いやれるものなのだろうか。

ゲルダを演じたアリシア・ビカンダーが助演女優賞を受賞しているが、アイナー(リリー)を演じたエディ・レッドメインもさすがでした。

彼の涼しげで優しさに溢れた眼差しが忘れられません。


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2017.02.21 11:33|

流


何者でもなかった。ゆえに自由だった――。
1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。
無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が?17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。




2015年夏に又吉直樹さんが「火花」で芥川賞を受賞した際、直木賞を受賞した東山彰良さんの『流』が気になっていて図書館にリクエストしていました。
それがやっと数日前に届き、引き込まれあっという間に読了。

ミステリー仕立てでありながら、台湾と中国を舞台とした骨太な作品にのめり込みました。
辻原登さんの「韃靼の馬」も好きだから、自らの読書傾向にも大陸物が好みなのかなと改めて気づかされました。

率直でピュアで負けず嫌い。権威や権力になびかず、祖父譲りの義侠(ぎきょう)心も持ち合わせていて、切ない恋愛も経験するし暴力ざたも起こすのですが、自分が何者なのと悩む青年が主人公です。台湾と中国の歴史的な関係も勉強できました。
昔、垣根涼介さんの『ワイルド・ソウル』を読んだ時の感想と似ているかもしれません。

先日、ブラジル人で日本を旅行しているカップルを車に乗せましたよ。

2017.02.13 17:18|映画

あん 映画


2015年河瀬直美監督

縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。そのお店の常連である中学生のワカナ(内田伽羅)。ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…

観るつもりは毛頭なかったけれども、たまたまオンエアーされていて録画してしまいました

ハンセン病に対する差別は本での知識やマスコミが大きく取り上げて解っていたつもりだったが、映像にされたことで、より患者さんらの苦悩が深く伝わり心揺さぶられた。やはり映画の持つ影響力は大きいと新たに感じずにはいられなかった。

本作の持つ独特な世界観は嫌いではない。桜の樹々を渡る風の音や餡に寄せる徳江の想い、千太郎の抱えた暗い過去など。しっとりと穏やかに語られ流れていく影像。豪華キャストを揃え巧い俳優さんらの中で、希林さんの孫にあたる内田伽羅さんも初々しい。”どら春”オーナーを演じている浅田美代子さんが、デビュー当時の「みよちゃん」からは想像もつかないほどベテランの域にのぼってきているのも嬉しい。

でもなぁ~、終盤になるに連れ、あなた方は観なくてはいけないのですよ、知るべきですよのmust感が押し出されて来るとたまらない。徳江の友人・佳子(市原悦子さん)が登場してきて一気呵成で進んだ。中盤ぐらいまでの匙加減で終わったら、もっと素直に観れたかもしれない。ラストがあまりに唐突過ぎて、千切れてしまい興醒めしてしまった。千太郎が吹っ切れて生きていくのを表わしたかったのだろうが、私的にはもっと繊細に描いて欲しかった。

この手の作品を創るのはとても難しいのだろう。




もう一つのブログ(晴山雨読ときどき映画)にハンセン病患者でもあった歌人・明石海人さんを紹介しています。良かったらこちらも読んで戴ければ幸いです。

たまたま出会った歌でした。

この浦の木槿花咲く母が門(と)を夢ならなくに訪はむ日もがな」

海辺にほど近い生家では今ごろ木槿の花が咲いているだろう。ああ、母さんの住む家を訪ねて夢でなくほんとうにあいたいものだ というような意味あいの歌です。会えない理由があるのだろうか、しかも男性が・・・。母親に会えないのは戦地に居るからなのか、しかしそれも違う気がする


http://blog.goo.ne.jp/33bamboo/e/4fac161df633cee938def95e4acdb1b9


2017.02.09 11:59|日常


※アメージングカードとは、レンズ付3Dステレオビューワー&グリーティングカードです。


ゴッホ


2アメージングカード


先日、美術館で見つけたグリーティングカード。一見、何の変哲もない絵葉書に見えますが、3つの折り込み線があって、それを折って組み立て真ん中にあるレンズを覗くと、平面の絵が、3Ⅾ空間に変わり眼の前に椅子やテーブルが立体的に広がりました!まるで『真夜中のカフェテラス』に自分が入り込んでしまったようでした。それはまさしく先日観た「ミッドナイト イン パリ」の世界。詳しく調べると、ゴッホが描いたのはパリではなくアルルの星空の下に輝くカフェテラスなんだけど、私の中では、主人公が迷い込んだあの世界に間違いないのです!

主人公のように誘って運んでくれる車はなくても、3Dステレオビューワー&グリーティングカードを覗けば幾夜も訪れることができます。

3D世界を載せられないのがとても残念!


DSCF5906.jpg


テーブルの上に陽射しの陰影がリアルに現れて、まるでモネの家にお茶にお呼ばれしたみたいです。


DSCF5907.jpg


踊り子たちが重層的に見え、控室のざわめきや出番を待つ彼女らの緊張感が伝わって来ました。



 

2017.02.02 16:40|映画

パン ラビリンス

製作国 メキシコ/スペイン/アメリカ

2006年 監督: ギレルモ・デル・トロ


スペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)。冷酷で残忍な義父から逃れたいと願う少女オフェリアは、昆虫に姿を変えた妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。すると迷宮の守護神パンが現われ、オフェリアこそが魔法の王国のプリンセスに違いないと告げる。彼女は王国に帰るための3つの試練を受けることになり……。


前作がぶっ飛んでいたので、今回はバランスを取ってダーク・ファンタジーとなったのか。タイトルの『パンズ・ラビリンス』とは牧神(パン)のラビリンス(迷宮)という意味あいだ。

スペイン内戦の深刻さと幻想の国のファンタジー性の両者を同時に描いてあり、戦時下とおとぎ話の組み合わせってあまりに隔たっているのではとの思いも確かにあった。でも、苦しい時ほど、厳しい現実から逃避したい気持ちは強くなる。童話が大好きで夢見ることが大好きな少女オフェリアが、パンに導かれるようにプリンセスとして魔法の王国に惹かれていき想像の世界を創り上げたとすれば納得がいく。そして、彼女は3つの試練をパスして地下王国にプリンセスとして迎えられる。ある意味、このラストは死を意味するのだがオフェリアの亡骸には笑みが浮かんでいる。これはある種のハッピーエンドなのか?いたいけな子供が戦争の犠牲になった現実には手放しで喜べない。オフェリアは戦争や理不尽な父から逃れ解放されたから微笑んだだけなのでは?どちらともいえない結末に割り切れなさが残った。

アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞の三部門を受賞しているのは文句なし!冒頭で現れる一匹の虫(たぶんナナフシ)、それが手足と羽がある「妖精」の姿に変化していくのだが、今まで描かれてきた夢溢れる妖精ではなくどこかグロテスク。病気にふせる母のベッドの下に置いたマンドレイクの根なども人形をしていて不気味。

たぶんグロテスクな妖精や牧神(パン)にしたのは、戦時下にあって、オフェリアは子供らしいファンタジーの世界を創り上げられなかったからだろう。痛ましい。

同監督は大好きな『ホビット』でも凄まじい悪魔的なゴブリンを描いている。


   平凡な奇跡を毎日繰り返しハッピーエンドのその先へゆく

                     (天野慶 「つぎの物語がはじまるまで」)






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