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2017.08.13 13:26|


主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく


本の帯には『大切な人が信じていることを、わたしは理解できるだろうか。一緒に信じることが、できるだろうか』と問いかけてあった。

私だったら、友人や隣人があやしい宗教を信じているからと言って彼らを非難はしないが、積極的に関わろうとしないだろう。でも、信じる宗教で自分の家族が散りじりになっていくのを黙って見過ごすことはないだろう。昔からお母さんと仲が良かった叔父さんが、ちひろの両親を目を覚まさせようとあれこれ手を尽くしたように頑張ると思う。(両親は叔父さん一家と絶交する)

だから、ちひろの友人の恋人が宗教の研修旅行に同行して、みんなの前で披露した言葉は理解できない。「ぼくの好きな人が信じているものが一体なんなのか知りたくて、今日ここにきました。ぼくは、ぼくの好きな人が信じるものを、一緒に信じたいです。……それがどんなものなのかまだ全然わからないけど、ここにくればわかるっていうんなら、おれ来年もここにきます」

ちひろの姉は家を出てしまう。

ラスト、親子3人で流れ星を観るシーンが暗示しているようだった。ちひろに見える流れ星は両親には見えないのに、両親に見える流れ星はちひろには見えない。信じるものが同じで寄り添っていても難しい。両親の想いがわからないわけではないが、ちひろや姉が社会的にそれなりの制裁を受けているのに、気づかずにただ信じ切っている両親の身勝手さを感じてしまった。

宗教を扱うなら、先日観た『P.K』の切り口が私にははるかに合っていた。


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2017.08.06 09:20|映画

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2016年 カナダ


赤毛のアンは原作を含め数多く観てきたけれど、これほど涙腺がゆるみっぱなしだったのは初めて!主人公のアンは孤児院育ち、また養い親となるマリラやマシュウもそれなりに家族を求めていたと強調され過ぎていなかっただろうか。原作と多少異なる感があったのは私の記憶違い?

私にとって、長年、アンの想像力の豊かさや天衣無縫の少女らしさを通して、私自身も成長していく見方をして来たからショックだった。思えば、アンを知ったのは十代の頃で、今やもうマリラに近い年齢なのだ。

観客は私と同様、赤毛のアンに洗礼を受け文学少女の過去を持つ女子たちでした。

アンが胸ときめかす『輝く湖水』などの風景描写にももの足りなさが残りました。



2017.08.02 15:57|


明治39年春。昔は控え選手、今は小さな業界紙の編集長を務める銀平は突如、母校・一高野球部コーチにと請われた。中年にして野球熱が再燃し、周囲の嘲笑をよそに草野球ティームへ入団。そこへ降ってきた大新聞の野球害毒論運動に銀平は作家の押川らと共に憤然と立ち上がる。明治野球の熱狂と人生の喜びを軽やかに綴る痛快小説


ド真ん中の野球小説!

読み終えた後に知ったのだが、主人公の銀平のみが架空の人物で、それ以外の登場人物は大方が実在した人たちらしい。スポーツに疎かった私には、寧ろ逆で、万年補欠選手だった銀平(彼とて並みの人物ではない)の方が近しい。彼の家族で親父さん、妻、子供、妹、妹の亭主、長屋の住人たちとの日々に暮らしで交わされる会話に耳を傾けた。


中でも、主人公の銀平の幼友達で葬儀屋を営んでいる良吉の言葉がずしんと心に響きました。

「せっかく今生で巡り会った身体の力をうまく引き出して、心に添わせてやることなんだよ。俺はね、『幸せな最期』っていうのは、自分の身体をちゃんと使い切って死んだ人に言うもんだと思っているよ。金持ちとか出世とかそういう一通り一遍のことじゃなくてさ」

銀平の親父さんが銀平をたしなめた言葉

「人は求めに応じて働くのが本当だ。てめぇのように何がやりてぇかにほざいているうちは世間の立派な一員にゃあなれねぇのよ。相応の人物には必ず他所から役割が与えられる。与えられたらその役割を四の五のと言わずにまずこなせ。そこで使い物になってはじめて、己の道ってもんが開けて来るんだ」

銀平がコーチしているピッチャー川西君

「本当に才のない人間は、自分に才がない事すら気づけない。せやから正当な結果によって駄目をだされても、本人は分からないから不当な扱いを受けたと思い込む。挙句、自分はもっと評価されていいはずや、認められないのはおかしい、世の中不公平やと不平不満を募らせる。すべては自分が元凶なんだけど、自分も世間も見えとらんから始末に悪い」

若い頃に、上のような言葉を聞いたら素直に認められなかっただろう。

でも年を重ねて受けとめられるようになってきた。

「金にもならないのに、それほどの時間と人生をどうして費やするのか」の問いに

銀平や実在の押川春浪など、野球人でなくとも分かる気もするが、突っ走る勇気は私にはない・・・。



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