勝負映画その2 マダムと泥棒

2015.09.24 16:31|

原題 The Lady Killers
製作年 1956年
製作国 イギリス
邦題(マダムと泥棒)
 知らなかったとは云え、自身が強奪事件に一役買わされていたと分かったら、あなたならどうする?
 ウィルバーフォース婦人は30年前に夫をなくし、鸚鵡を友に暮す無邪気でお人好しの老未亡人。人寂しさに部屋を貸すのだが、張り紙を見てやって来たのは5人組の男たち。音楽の練習のためにとは大嘘で、実は彼らは大泥棒だった。レコードでメヌエットの曲を流し、連日悪事の相談が実って現金輸送車を襲い莫大な紙幣を奪う。その時借り出されたのが童女のような婦人だった。何も知らない婦人は盗んだ現金を白昼堂々彼らが待つ自宅へと運ぶ。まんまと成功した彼らは部屋を引払うことにしたが、玄関を出る間際持っていたチェロケースが扉にはさまれ、詰めた紙幣が夫人の眼前で飛散ってしまいバレてしまった。
 さあ、自分も片棒を担いだと知った彼女。そこへ友人たちが訪ねて来る。彼女たちを事件に巻き込まないようにという婦人は実にあっぱれだった。毅然とした態度で、犯人たちに「1時間だけは紳士でいるように」と彼らを制す。このセリフで、私はたちまち夫人の擒となる!たいていの俗事には驚かないようなおとぼけキャラに、友人を守ろうとする矜持を持った彼女は実に素敵。
 いったんは「今回の事件で保険金が下りるため損をする者はいない」と言い包められそうになるが、警察へ自首すると彼女は言い張り、5人は彼女を殺そうと決める・・・。
 大事件に巻き込まれながらも婦人のかわす技はあざとさがなくて小気味よい。演じているカティ・ジョンソンは若い頃に映画に出たことがあるらしいが素人に近く77歳だったそうだ。名のある男優たちで占める泥棒組を前に全く引けを取らなかった。
 1955年に生まれたブラックコメディには気品が感じられる。
コメディに殺人は禁じ手だろうが、汽車の煙に巻かれて“見せない”演出を取ってあるから許せる。また彼らが本当に死んだかどうかも分からないではないか。(まぬけでお人好しな彼らはどこかで悪事を狙っているようにも思えた)
 冒頭で、夫人が時々奇想天外な話を警察に持込んでは署員を辟易させていたシーンが、ラストで大きく効いて来る。
 彼らの姿だけが消えお金だけが残った。
 婦人は出頭して「強盗事件の犯人を知っている」と話し始めるが、警察官は又いつものホラ話が始まったとばかりと相手にしない。「お金はどうしたらいいんですか」と老婦人に訊ねられ、「もらっておけば」と応えて追っ払う。帰りがけ、気を大きくした彼女は物乞いに大枚を渡し意気揚々と引き上げる幕切れ。
ウィルバーフォース婦人は柳川とし子刀自とは全くタイプが違うが、『大誘拐』を想いながら、ラストで映し出される婦人の住む街並み、鉄道や駅舎を観ていた。
命がけの勝負を真っ向勝負で挑むことはない。ひょうひょうとするりとかわす術で乗り切るのも良いではないか。でも、そちらが私には難しそう。結晶性知能を高めるとしよう!


映画のポスターが気にいりました。
&泥棒組が婦人をごまかすために流していた”メヌエット”、当時流行したそうですよ。






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