葉真中 顕(はまなか けん)著『ロスト・ケア』

2013.07.10 14:20|
 

 
検察官大友秀樹の友人で介護企業『フォレスト』に勤める佐久間功一郎は、顧客データを持ち出し退職するが抹殺されてしまう。大友たちがそのデータを分析したところ、ある介護事務所の顧客の異常な変死が発覚する…。社会における様々な矛盾と歪んだ現実の中で、人間の尊厳、もがき苦しむ人々の絶望を抉り出す
 
開いてみれば日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作でした。
ミステリー物にはあまり興味が湧かないのに何故読んだのか。A新聞で社会派小説とあり介護の問題を真正面からとらえてあると書評にあったから。
本当に凄い小説でした!
「ミステリーとしての奇抜さはない」と著者も語っているが、法と社会、罪と罰の社会哲学的な問いが全ページに渡り投げかけられている。渾身の作品でした。
性善説を疑わずに法曹界に入った大友検事。
介護に明け暮れる人々と介護される本人を救うために殺めることを選んだ「彼」。それが罪なのかどうかが問われる前に、彼の目的は介護の問題を白日の下ににさらし社会に投げかけたかった。
東日本大震災による原発問題、キリスト教を初めとする宗教など現在が抱える問題も伏線に書かれていて読み応え充分。
 
絆は絆(ほだし)という読みもあり牛馬の足をつなぐ縄で人の自由を束縛する手枷足枷に転じるという意味合いもあるらしい。
 
聖書 マタイによる福音書より
わたしが来たのは
地上に平和をもたらすためだと思ってはならない。
平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。
わたしは敵対させるために来たからである。
人をその父に、娘を母に、嫁をしゅうとめに。
こうして、自分の家族の者が敵となる。
 
キリストは家族以上に自分を崇め愛せよと言いたかったのだろうが、なかなか興味深い引用だ。宗教戦争があって然りだろう。
 
 
 
 
 
 

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