安田​依央作「終活ファッションショー」

2012.07.03 15:06|
買​い物帰​りに寄​った図​書館の​平台に​「終活​ファッ​ション​ショー​」とい​う一冊​の本を​見つけ​ました​。著者​が安田​依央?​聞いた​事がな​い作家​だった​ので後​ろのペ​ージプ​ロフィ​ルをちら拝​見すると1​966​年生れ​で現役​の司法​書士​。ユニークな経歴に魅かれそのままカウンターへ直行してしまいました。
 
(あらすじ)司法書士の市絵は、老人たちの遺言相談にのるうちに、死ぬときに着たい服を発表する「終活ファッションショー」の企画を思いつく。参加者を募ると、年齢も趣味もばらばらなメンバーが集まった。義母の葬儀の希望を叶えられなかったことを悔やむ嫁、バブリーなセレブ夫人、熟年離婚寸前のエリート夫婦、元警察官のオカマバーのママ…。十人十色の死装束から、それぞれの人生が見える―。
 

就活は良く耳にする言葉ですが、「終活」とは何ぞや?死に向けての準備または活動というようなものでした。洋服だけでなく、大切な人たちへメッセージも残す。そのメッセージを見つけるために、それぞれ未来の年表やシュミレーションも作成するのです。
ファッションショーに参加する一人に雪乃さんがいます。彼女は30代ですが余命は半年でホスピスに入居。最初市絵に面会した頃、自分は何の痕跡も残さずに死ぬつもりだと云っていました。夫には再婚してもらい、残していく幼い子供たちと新しいお母さんとで再出発をしてもらうために、自分の思い出など無い方が良いのだと話します。驚きました。まったくガンを患った時の私と同じ考え方だったからです。思い出すものが何もなければ、子供たちは新しいお母さんのもとで幸せになれるはずだ、自分のことなど早く忘れてくれた方が子供のためだと疑わない私そのものでした。そう言い張る雪乃に市絵はきっぱりと否定しました。彼女はこれまで他人の言い分を否定したことがない女性でした。「それほど自分たちのことを思ってくれるお母さんを忘れるはずなんてないです。あなたが何の痕跡も残さなかったら、却ってお子さんを悲しませることになるでしょう。成長の過程で、もしも何か足りなくなった時、あなたの言葉が支えになるかもしれないからです」。あの頃に考え抜き、子供のことを一番に考えた最良の結論と思っていたが、実はこのような考えは若気の至りだったのかもしれない・・・。
荒川は背景が最後まで見えないおばさんだったのだが、この雪乃を「この女がもう長くないって分かってるから気を遣ってやってるんだろう。それを笠に着てまあ言いたい放題だ。いい気なもんだよ、いったい何様だ。あたしゃ、こんな気持ちの悪い偽善ごっこは大嫌いなんだよ」と非難する。彼女は息子を交通事故で亡くしていた・・・。逆縁で子供を失った悲しみを抱えて生きていたのだ。
 
こう書くと何だか湿っぽいと誤解されたら困る。全編にハートフルコメディ的な明るさが流れているので、読み終えた後元気になれる。
市絵の腹違いの弟、基大はデザイナーの卵で終活​ファッ​ション​ショー​を盛り上げている。他にも彼の友人リオは生意気な金髪に髪を染めたダンサー。元警察官のオカマバーのママなど個性的な男性陣に老人パワーが花を添えている。
伊吹有喜著『四十九日のレシピ』を彷彿とさせる作風だった。
 
http://book.asahi.com/booknews/interview/2012062200004.htmlこちらをクリックすれば著者のインタビューがあります

コメント

非公開コメント

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

しずく

Author:しずく
「いらっしゃいませ」
映画や本などの感想を気ままに書いています。
コメント歓迎いたします

最新記事

検索フォーム

カテゴリ

最新コメント

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる