話題の「火花」を読みました

2015.08.14 11:58|


又吉直樹さんの『火花』は予想通り、芥川賞らしくなく解り易く肩肘張らずに読め好きでした。
「笑いとは何かを」追及するお笑い芸人2人の話なのだが、題材選択がすこぶる振るっていたと思う。美味しい料理が先ず原材料を吟味するところから始まるように、日頃から、作品の題材を何にするかで良し悪しの半分以上は決まると考えている。今まで誰も描かなかったお笑い芸人、それが受ける時代も後押ししての快挙となったのだろう。今まで、ドタバタを演じるお笑い芸人さんたちに一方的な不快感を抱いていたのが、少し解消された。(次男がファンだったので、又吉直樹さんは別格扱いでした)
純文芸風の硬さに、漫才のネタ書きで鍛錬された絶妙なオチが加えられ出来上がった作風のよう。

小説中で”スパークス”というお笑いコンビを解散する時の舞台に泣けてしまう。
「あえて反対のことを言うと宣言した上で、思っていることと逆のことを全力で言うと、明確に想いが伝わるねん」との口上で始めた漫才。
「おい相方!お前はほんまに漫才が上手いな!一切噛まへんし、顔も声もいいし、実家も金持ちやし、最高やな!」
途中略~
「そんなお前とやから、この十年間ほんまに楽しくなかったわ!世界で俺が一番不幸やわ!」「僕たち、スパークスは今日が漫才をする最後ではありません。これからも皆さんとお会いできると思うと嬉しいです。僕はこの十年を糧に生きません」
コンビ解散をすると告げた主人公・徳永に、長年彼が師匠と尊敬してきた神谷が激励する言葉にじーんと来た。
「(観客を)ずっと笑わせて来られたのは、とてつもない特殊能力を身につけたということやで。ボクサーのパンチと一緒やな。芸人も一緒や。ただし芸人のパンチは殴れば殴るほど人を幸せにできるねん。だから事務所辞めて、他の仕事で飯食うようになっても、笑いでど突きまくったれ。お前みたいなパンチ持ってる奴どっこにもいてへんからねん」

笑いは重要で人を豊かにさせると気づいたのは後年になってから。どちらかと云えば馬鹿にしてきたかもしれない。自分が生きることで精いっぱいだった私は、笑いで他人を楽しませるなんて発想は持ち合わせてこなかった。
過去に、一生懸命向うものがあり賭けて来たことが結実していなくとも無駄ではなかったと思わせてくれる作品でした。
爽やかな読後感がたまらない。



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