愛されるためにここにいる

2012.04.03 17:47|
若い頃の感情を表に出すような激しい恋ではなく、しっとりとした恋を見せてもらえた。さすがフランス映画と思える大人の恋愛映画。
主人公は父親から継いだ仕事をするだけの毎日を送る、50歳過ぎの冴えない中年男、ジャン・クロード。彼は老人ホームに入所している高齢の父を時折り見舞うが、何故かいつも喧嘩別れとなってしまうのだ。別れた妻との間にもうけた一人息子も彼の仕事を手伝っている。しかし司法執行官の職務を好きになれないで、仕事をやめると父に言い出せないまま。たぶんジャンクロードだってそうだったのだろう。
医者に運動不足と云われ、彼は思い切ってタンゴ教室へ通うことにした。そこでフランソワーズに出会う。彼女は結婚を目前にして幸せなはずなのに、婚約者との気持ちがすれ違いどこか満たされずにいる。彼女の年頃も40歳ぐらい。
 

2人の、特にジャン・クロードを取り巻く設定が自分の年齢に近く重ね合わせることができる。
フランソワーズから彼に近づくのも大人の恋を感じさせた。不器用なジャン・クロードが自分の気持ちをなかなか言い表せないのがもどかしい。情熱的なタンゴに不似合いな彼が踊るタンゴはぎこちない。でもそれが好いのだ。官能的なタンゴの踊りが、まるで彼の気持ちを代弁してくれているようだ。フランソワーズの彼に委ねた手やうっとりとする表情が、彼を求めてやまない気持ちを思わせる。「愛している」「好きだ」とかいう言葉が使われないのに、2人の熱い感情がぐっと伝わってくる。
ジャン・クロードの事務所で働いている年の入った独身女性が、いじけている彼に、けしかけるように忠告するのも微笑ましかった。彼女は盗み聞きしていて、フランソワーズが「友だちのままでいましょうと言っているのは本当の気持ちではない」と教えてやるのだから・・・。
クロードと父親との別離もさらっと描かれていたが胸に迫ってくる。きっと素直になれない不器用さは父親譲りだったのだろう。クロードは息子に「この仕事が嫌だったら辞めてもいい」と言えるほど、変わった。
『家族だったら黙っていてもわかってくれるはず』は在りえない。それは甘えにすぎないのだから、後悔しないようにもっともっと言葉を尽くす必要がある。
少年少女の成長物語のような、50歳中年男性の成長物語でもあると思った。 

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