映画「悪人」

2011.11.09 14:20|

原作が良ければ良いほど映画を見るのは躊躇われる。「悪人」もその中の一つに入っていたが、テレビで放映されたので思い切って見た。
脚本を原作者の吉田修一と監督李相日で書き上げただけに素晴らしい作品に仕上がっていたと思う。背景となる長崎の場面はすぐ分かったし、殺された娘が置いてけぼりにされた佐賀の三瀬峠など登山口だから夜はきっと空恐ろしい場所に変わるような所。知っている場所が背景となっているので臨場感も増し当たり前だろうが、それを差し引いても優れた映画だと思う。
主演の2人の演技は評判通り。寧ろ脇役陣の層の厚さと丁寧な演技に拍手を送りたい。祖母役の樹木希林が報道陣に追われてバスに乗り込みシートに座った後の何ともいえない表情、好きな満島ひかりは出会い系サイトに頻繁にアクセスし殺害される佳乃役を見事にこなし、裕福な大学生を演じた岡田将生ははまり役だったと思う。他人と理解しあうことなく、孤独な日々を生きている人間たち。彼らは他者との触れ合いを拒絶しながらも渇望しており、ちょっとしたきっかけで犯罪に巻き込まれていく。
原作を読んでの疑問が解決されなかったのは残念。
捕まる直前、祐一は「俺はお前が言うような奴ではない」と光代の首を絞めるが、そうしたのは本心からではなく、光代を逃亡をそそのかし手伝った共犯にさせないための演技だったと取れないか。原作、映画両方とも祐一が逮捕されて日常に戻った場面で光代がつぶやく。「彼は本当に悪人だったの」と・・・。ぼかしてあるのは観客や読者に委ねられるということだろうと思うのだが・・・。
祐一は彼を置いて出た母親に金の無心をする。母親は彼を悪人よばわりするけれども、確か原作では母がお金を息子にやることで、息子を捨てた罪の意識が軽減されるのならば~と祐一の心情が書かれてあったはずだ。
 
取り留めない感想をつらつらと書き連ねてしまい長くUP出来なかったのは思い入れの強い作品だったから。
でも、これ以上時間を割けないので中途でも残すことにします。
 
前後して観たのは「重力ピエロ」。
つい比較しての感想になる。人を殺めるがこの映画ではそう責められていないような気がしてならない。どんな事情があっても人の命を奪うことは許されない。(殺されたのは出所して反省のない実の父親、つまり犯人だった)。それよりレイプされた子供を出産し育てた両親の気持ちが理解できなかった。あまりにも残酷な設定だろう。生まれた子供は世間にも知られ、後に両親にも告げられのだ。私だったら過酷な運命に耐えられそうにない。映画のように、たとえ家族全員(両親とお兄ちゃん)が全力で彼を愛したとしても・・・。
 

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