梯久美子著「散るぞ悲しき」

2011.09.22 15:02|

 たまたまラジオをかけていたら、著者の梯 久美子さんが出演中。どこかで聞いた声だと思っていたら、何とTVブックレビューの司会をしていた彼女だった。彼女が作家だったと知り驚き、早速図書館から取り寄せて読み終えた。
硫黄島の総指揮官栗林忠道さんは映画「硫黄島からの手紙」で渡辺謙が演じていたはずだが、先にこの本を読んでいたらもっと身近に感じられたかもしれない。梯さんが栗林さんに興味を持った理由は、彼が戦地から家族に宛てた手紙に軍人らしからぬ、主夫的なこまごまとした内容が面白かったからだという。
本当にその通りで台所に修理をし残したことなどや、生まれたばかりのたか子さん(たこちゃんと呼んでいる)や13歳下の妻義井を案じる温かい気持ちが滲み出ている手紙が目立つ。彼は軍人になる前に、ジャーナリストになる道も考えていたことが分かって納得できる。非凡な彼の才能を生かすためにはジャーナリストになるべきだったのではと口惜しい。
 
滅多に戦争物は読まない私だが、戦争で闘い死んで逝った人々があるからこそ現在の日本の繁栄があると思う。彼らが命をかけて守った今の国を見てどう思うだろうかと思うと辛い。
 
彼が開戦そのものに反対していたことで、見捨てられた硫黄島の総指揮官を命じられたことも本書で仄めかされていた。栗林中将が取った戦術は、それまでどの指揮官も考えもしなかった戦い方だった。それは想像を絶するほどの苦闘だったことが伺われる。摺鉢山に星条旗を立てる例の有名な写真によって、米国ではすべての国民の記憶に残る戦闘となり、栗林はアメリカを苦しめた男として日本より米国で有名だった「父親たちの星条旗」も観る必要がありそうです。

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