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フェリーニ最後のネオリアリズム映画「道」

2016.01.14 15:00|映画
miti.jpg

原題 La Strada
製作年 1954年
製作国 イタリア

今回のお題に相当する作品を5本借りてきました。熱心さからではなく途中で投げ出しそうな予感もし、保険をたくさんかけた結果です(笑)。『ネオリアリズム』の言葉を初めて知り、これをきっかけに見逃してきた名作なるものを観ておこうと殊勝な心がけもありますよ!
自分がどうして本好きで映画好きなのかが分からない家庭環境で育ちました。たぶん、両親が共働きでほとんど独りの時間が多く(妹とは7歳違いで一人っ子同然)勝手きままに過ごす時間を読書に費やしていたのでしょう。知らない間に字を覚えていたと母があきれていましたから。今のようなビデオショップなぞあるはずもなく映画館もない片田舎です。
今は昔ー、呑んべえで文化の香りもほど遠い父に1度だけ「映画とか観たことある?」と訊ねたことがありました。父は首を傾げた後「道」と応え「あの哀愁のある音楽が耳に残って離れなかった」と付け加えました。
それからずっと「道」はあの無粋な父の記憶にも残る映画として刻まれています。
そういう分けでまず迷うことなく「道」を選びました。




観終わり、淀川さんの解説を聞くまでジェルソミーナが白痴とは思いもしませんでした。現在の精神医学ではそんな決めつけは許されないぐらいに彼女は正常範囲の女性だったのでは・・・。
最後まで観れたのはジェルソミーナがザンパノの元に人身売買のように姉・ローザの後釜としていくのに、悲しみで見送る家族とは裏腹に、旅芸人の暮らしを人生の再出発としようという明るい表情で映画を始めてくれたから。冒頭シーンだけでなく、ジェルソミーナの表情は次々に変化します。もしかすると、この辺りがジェルソミーナのおかしいところと云われている所以なのだろうか。私も感情が移ろい易いタイプなので個性としてとらえて観ていました。
全編を通してあれ、あれっと?感じた部分が多かったので、原作があるのだろうかと疑問に思いネットで調べた結果、原作は監督のフェリー二自身によるもので「世界シナリオ選集 1957」にしかなかった。
陽気な綱渡り芸人キ印のイル・マットーは最後まで難解な人物として残りました。「どんな物でも何かの役に立ってる。たとえば、この石だって。どれでもいい。何かの役に立ってるんだ」というセリフは最高にカッコいい。でも彼は一方で「ザンバノだって君を好いている」と焚き付けていて、ジェルソミーナがザンバノと暮らす道を選ぶ決定的な言葉となってしまっています。ジェルソミーナにはサーカスの人たちと巡業に回る選択肢もあったはず。(勿論、ザンバノだったら追いかけて来て迷惑になると考えたのか。家族には稼いで仕送りすることも可能だった)。
綱渡り芸人の名言、このセリフはいったい何のための忠言だったのか。キ印は「ザンパノを見るとちょっかいを出したくなる」と言ってる位だからザンバノを嫌っていたわけじゃないだろう。むしろ友情めいた感情を持っていて、ジェルソミーナが彼を真っ当な男にさせてくれるかもしれないという期待もあったのだろうか。
現在の社会問題となっているDV男との共依存関係を思ったりもしました。
ザンバノから誤って殺されてしまうのは皮肉なことだ。辛抱強く連れ添っていたジェルソミーナの神経がぷっつんと切れてしまうのも無理はない。可哀想でした。
その前にザンバノは一夜の宿を提供して貰った修道院でも金目のキリスト像を盗もうとします。ジェルソミーナは愛想を尽かし修道院に留まり彼から逃げ出すチャンスもあったのに・・・。
「どんな物でも何かの役に立ってる。たとえば、この石だって。どれでもいい。何かの役に立ってるんだ」
真実をとらえ、実に人の心をとらえる素敵な言葉です。実際、本作を観た人々が称賛しています。でも、1歩間違えば人心を惑わす危険な言葉とも・・・。彼女はこの言葉に縛り付けられてしまっていたとしか思えない。確かにそうだが、彼女が役だとうとする対象が間違いだったと思いませんか。
本作はフェリーニの作品の中では最後のネオリアリズム映画といわれるらしいが、そう考えると、ザンバノはファシズムやナチズムだったのではないだろうかと思えて来た。キ印は流麗な心地よい言葉で国民(ジェルソミーナ)を扇動した奴。だからジェルソミーナは白痴よばわりされたのかもしれない・・・。
トランぺットで奏でられる哀愁を帯びた曲は虐殺されたユダヤの人たちへの鎮魂歌。
突飛な感想だろうか・・・。

「道」を鑑賞できたことに深く感謝します!






コメント

Re: 初コメ失礼します

> こんにちは。
> 宵乃さんのリンクを辿ってきました。
> ヒゲハゲ観察者のタカハシと申します。御見知り置きくださいませ

良くぞいらっしゃいました!
そして初コメを下さってありがとうございます。
タカハシ様のレビューはすでに読ませてもらっていて、私もコメントしようかなと思っておりました・・・。
理由は下記のことと、本作を三角関係恋物語に捉えていた新説は面白いと!

> ジェルソミーナが白痴には見えない、に激しく賛同します。
> 私はいわゆる右脳のみで生きている女性だと思いました。

そうです、そうです。だからこそ、旅芸人でザンパノと暮らす道を選べたのですものね。
 
> と、もう一点不思議だったことがあります。
> ザンパノってそんなに暴力夫だったのかしら?
> 喧嘩っ早い人間ではあったけど、女性にむやみに暴力をふるう男には見えなかったんですけよ私には。
> 確かにジェルソミーナにラッパを仕込む時、木の枝で脚を叩いてましたが、あれもあまり痛くないような柔らかい枝を選んでいたように見えました。

暴力男というより、誠意がない男だったと思います。
一宿の恩を仇で返したり、決定的だったのは誤ったとはいえ綱渡り芸人を殺してそのまま放置してしまったこと、気がふれたジェルソミーナも置いてきぼり、それはないでしょう!
私だったら許さない、とっても嫌な男でしたけど。

初コメ失礼します

こんにちは。
宵乃さんのリンクを辿ってきました。
ヒゲハゲ観察者のタカハシと申します。御見知り置きくださいませ。
ジェルソミーナが白痴には見えない、に激しく賛同します。
私はいわゆる右脳のみで生きている女性だと思いました。

と、もう一点不思議だったことがあります。
ザンパノってそんなに暴力夫だったのかしら?
喧嘩っ早い人間ではあったけど、女性にむやみに暴力をふるう男には見えなかったんですけよ私には。
確かにジェルソミーナにラッパを仕込む時、木の枝で脚を叩いてましたが、あれもあまり痛くないような柔らかい枝を選んでいたように見えました。
まぁ、それだけでも暴力のうちと言われればそれまでですが。

Re: Re: 詳細は忘れてしまったけど

> >ザンパノはファシズムやナチズムを象徴しているという解釈には唸らされました。初見時はザンパノへの怒りばかりだったのでストンと納得!

> 同意してもらって嬉しいです。
検索しても、誰一人としてこんな解釈はしていなかったので深読みしすぎかなとは思ったのですが、感想は自由ですものねw。
そう考えたらすべてが納得いったのでした。
書き忘れましたが、ニノロータとの出会いがフェリーニの映画作品を不動のものにしたような気がしました。
それだけあの主題曲は哀愁を帯び心に染み入る曲でした。
フィギア・スケートで大ちゃんが「道」の音楽を使い、道化師のコスチュームで演じた時、選択が巧いと感激したのを覚えています。 ニノロータが手掛けた映画音楽は、ゴッドファーザー、ロミオとジュリエット、太陽がいっぱいなどすべてがヒットしていますもの。

ジェルソミーナはイタリア語で(ジャスミンの花)、 姉はローザ、薔薇の花と比較して名づけてあったのね。

> それに、芸人さんの言葉がジェルソミーナを悲しい運命に導いてしまったというのもわかる気がします。あんな乱暴者を彼女一人に任せるなんて、考えてみれば無責任ですよね~。3人一緒にいられるならともかく。

ちなみに、淀川さんは解説で綱渡り芸人を「神」とおっしゃっていましたよ。

> 名作と言われていても再見はしたくない作品でしたが、いつか観てみようかな。

演劇をやってたせいか、私には旅芸人のストーリーはロードムービーに近い感覚で楽しめます。
ドサ回り稼業もやってみたい選択肢でした!でも、枕が変わっただけでも寝れない、不潔さに耐えられないじゃぁ無理、無理とあきらめました。

>しずくさんにとって、気になっていた作品を鑑賞する良い機会になったようで嬉しいです。

亡き父がいったいどういう分けで映画館へ足を運び、映画館の椅子に何を想いながら観ていたのだろうと想像し、うるっと来るものもありました。たぶん、父も切々と訴えて来る曲想に魅かれたのでしょう!

さて残りの4本、イケるかな?

詳細は忘れてしまったけど

ザンパノはファシズムやナチズムを象徴しているという解釈には唸らされました。初見時はザンパノへの怒りばかりだったのでストンと納得!
それに、芸人さんの言葉がジェルソミーナを悲しい運命に導いてしまったというのもわかる気がします。あんな乱暴者を彼女一人に任せるなんて、考えてみれば無責任ですよね~。3人一緒にいられるならともかく。
名作と言われていても再見はしたくない作品でしたが、いつか観てみようかな。
しずくさんにとって、気になっていた作品を鑑賞する良い機会になったようで嬉しいです。
ご参加ありがとうございました!
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