直木賞受賞作 青山文平著「つまをめとらば」

2016.02.04 14:42|


時代物は長く敬遠してきた私だが、旧い白黒映画を観る機会に恵まれ呪縛から解放されたこの頃。
本作の新聞紹介に次の一節がありました。『女の自信は根拠を求めない。子供の頃から、ずっと目立たぬために周りを注視してきた私だから、そう見えるのかもしれぬが、女は根拠なしに、自信を持つことができる。その力強さに、男は惹きつけられる。男のように、根拠を失って自信を奪われることがない』
おっと待った、世の中には自信たっぷりの女性ばかりではありません。私なぞ劣等感の塊で生きながらえているようなもの・・・。
それほど云わせる作品を読ませてもらおう。読後に爪の垢を煎じて飲めるようなシロモノを発見できればもっけの幸いと図書館で借りました。

受賞作は全6編の短編集ですが、届いたのは『オール讀物』で、表題作の「つまをめとらば」の一篇のみが掲載されていました。

中心となるのは武家屋敷で隠居している56歳ぐらいの幼なじみのリタイアした武士どうし。3度の結婚に失敗した深堀省吾は不義を働いた妻の借金を払いながら戯作者として生計を立てている。もう一人の貞次郎は結婚歴なしで養子を雇い好きな算術を中心に貸本屋業を営んでいる。2人は10年ぶりに会い、たまたま貞次郎が家を探していて省吾の貸家に住むことになります。
貞次郎は所帯を持つ女を連れて来るといいながら一向にその風がない。
というのは、両者とも男同士の生活が意外と平穏だったから・・・。

2人が縁側でお茶を飲みながら話す挿絵は何てほのぼの。

IMG_20160202_0002.jpg

しかし、意味深な会話がー。
『爺二人の暮らしが居心地よくてな。なかなか女と暮らそうという気にはなれんのだ』『そうか』
『これまで衆道と聞くだけで忌避してきたが、男同士が連れ合いになると所まで考えが及ばなかった~。平穏を望むなら男と暮らすのがいちばんだが、男と連れ添うわけにはいかない。連れ添うとなれば女を選ぶしかない。俺のように所帯を持とうか持たないかと迷い続ける者はどうしたらいいものか』

そういいながら2人暮らしはしばらく続きます。

色んなしがらみが毒を生む。その毒を金に替えて生計をたててきた。しかし男同士の暮らしは平穏で毒が生まれず省吾は筆が進まなくなっているのに気づく。スポーツにハングリー精神が必要というのは知っていたけれど、創作にも必須かもしれませんね。
そして貞次郎は決断をする。
さてその決断はどうなるかは、それぞれが読んでからのお楽しみ!
映画にもなりそうですが、配役はどうなるか?
佐世という「罪のない童女のような顔を罪ではち切れそうな身体の上に乗せている」と表現された女性も登場します。
それに省吾の元妻も一筋縄ではいきません。
でも、省吾によると「ふつう」の女なんですってよ(笑)

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