フレンチアルプスで起きたこと

2016.09.02 11:48|映画


原題Turist
製作年2014年
製作国スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー合作


2014年のカンヌで絶賛され全米で公開されるや外国語映画賞15冠を達成した、スウェーデン発のシニカル・コメディです。何といっても北欧三ヵ国の映画であるというところが肝心。これらの国って、日本よりも断然進んでいてジェンダーフリーが浸透していると思いがちだけど、意外や意外で、「男は頼れる存在」という刷り込みは払拭されていないということらしい。

フランスのスキーリゾートにやってきたスウェーデン人家族。スマートなビジネスマンの父親トマス、美しい妻のエバ、そして娘のヴェラと息子のハリーはフレンチアルプスにスキー旅行にやってきた。しかし、昼食をとっていた最中、目の前で雪崩が発生(実は本物の雪崩を防ぐために人工的に起こされたもの)。その時トマスは結果的に家族を残して避難してしまった・・・。その行動が「理想的な家族の父親像」を崩壊させ、妻や子どもたちから反発や不信を買ってしまうはめになる。

妻・エバはねちねちと彼の取った行動を知人や友人に話し、子供らは夫婦げんかする両親を目にして不安や軽蔑などの感情が渦まく。

この一家はいったいどうなるのか。

スウェーデン語タイトルはTURIST(旅行)で、インターナショナルタイトルはFORCE MAJEURE(不可抗力)。この2つのタイトルが巧い。それに比べ邦題は・・・。

家族を置いてけぼりにして逃げたと攻撃するエバに肩入れして観ている一方、しょせん人間は咄嗟に自分を守るのも本能じゃないだろうかと、トマスに同情を覚えながら鑑賞していた私です。

ラストが効いたね!

何とか休暇を終えホテルから空港へ戻るバスの中で、運転が危なっかしく不安なため、エバが抗議し、乗客はバスを降りて歩くことになった。エキセントリックなエバ~バスの中で母親に呼び掛ける娘より、誰よりも先に降車したのは事もあろうにエバ自身だった。(エバさん、あんた真っ先に下りたのが自分だったと気づいている?たぶん、気づいてないよね)。初見では私も気づかず、指摘された或る記事を読み再見して知りました。そして重たい子供を抱きながらの下山中、エバは夫ではなくワケありな知人男性に娘を託した。唯一降車しなかったのは、自由恋愛を謳歌する価値観が全く異なる女性だった。

色んなことを詰めすぎ難解なシーンもあるが、問題提起が豊富な作品だった。

「男は頼れる」と幻想を抱いて結婚する若い世代に是非観て欲しい。現実はそうでない。それを要求するのは自分勝手で自身が未熟だから。自戒も込めてますよ(笑)

(実は今春に観ていたのですが、下書きのままだったので追加記事にまとめ直しました。ケフコさんが自身のブログで紹介されていたおかげです。ありがとう!)



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