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原作「小さいおうち」と映画を観て

2016.05.04 18:15|映画と本

小さい


ファンでもある黒木華さんがらみで、「小さいおうち」をケフコさんのブログで読ませて戴きました。映画は1年ぐらい前に観て好印象だったのに忙しさに紛れて書き落としたまま。幸いにも、原作を読んだ感想を5年前に書き留め他のブログに残していました。

原作を読んだ後に映画化されたのは知っていましたが、私のイメージを大事にしたいと映画はしばらく観ませんでした。 たぶん4年ぐらい経った頃に鑑賞したのでは?白い割烹着でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したタキ・華さんを観るためだったのに、意外にも主役を演じた時子・松たか子さんの存在感が大きかった!2人とも素晴らしかったと思います。 



物語は東京西部にある赤い三角屋根の洋館に働いていた女中、タキの回想で書かれています。
東京の中流よりも少し上のクラスの庶民の人たちの暮らしぶりが描かれていて、時代は昭和の初期の時代なのに、不思議と懐かしさと新鮮さを感じてしまいました。戦争が忍び寄る暗い時代背景の中で、意外にも元気にイキイキと日々をすごす人々らがいるのは力強くも感じられました。
7章まではタキが仕えた平井家の時子奥様とその坊ちゃん、おもちゃ工場に勤務する旦那様と4人の生活を中心に、回想録の形で女中奉公の記憶をつづりますが、時々その回想録を甥である健史がこっそり読むという構成になっています。
淡々としたタキの回想が気持ちよく流れているのを、茶々をいれたような健史の言い分がその流れを断ち切っているのは紛らわしいなぁ~。単に現在と昔を比較しているのだろうと思いきや、章を追うごとにこの健史が重要な役割をなし思わぬ展開をもたらします。
最終章で、健史はタキが亡くなった後、洋菓子の空き缶の中からタキが平井家の家族と一緒に写った写真数枚と和紙の封筒を見つけます。裏に平井時子とあるだけで宛名が書かれていない美しい封筒でした。タキが生涯隠し続け後悔してきた真相が明らかになった時、胸が詰まります。タキが慕っていたのは、時子が思いを寄せていた板倉だとばかり思っていたのにそうではなかった・・・。意外な真実に驚き、なるほどと中島ワールドの上手さに舌をまかずにはいられません。

イタクラ・ジョージの記念館も実際にあるような気にさせてもらえる仕掛けは素晴らしい!中島京子さんの作品の中で一番好きな作品です。やはり第143回直木賞を受賞していました。
同じ題名でバージニア・リチャード・バートンの「ちいさいおうち」という絵本が登場しますが、たぶん中島京子さんは同タイトルの絵本からヒントを得この作品を書かれたのでしょう。久しぶりにこの絵本に出会えたのも思いがけず嬉しかった

(2011年・12月22日)




コメント

Re: No title

鉦鼓亭さん、お久しぶりです。
コメントありがとうございました!

> 松たか子さん>流石、着物姿の所作が美しく「戦前の奥様」が自然に見えました。
> 黒木さんに喰われやすい役なのに、喰わず喰われずでお互いがお互いを光らせていたと思います。

松たか子さんも素敵な奥様役でしたよね。
両方とも甲乙つけがたい演技に驚きました。
ただ男性陣も良かったのに、板倉役の吉岡君がイタダケなかったのがとても残念です。


> 「女神は~」に続き、しずくさんの記事で良い作品を観る事が出来ました。
> 感謝!です。

私こそ、以前鉦鼓亭さんとやり取りした後にすぐに「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観ました。
残念ながら映画ではなくドラマの1話しか観れなかったのですが、綾野剛さんがミステリアスな雰囲気で結末が気になり、小説を読みラストを知りました。
原作者は監督でもある岩井俊二さんだったのですね。


No title

 しずくさん、こんばんは

お盆休みを利用して観てみました
良かったです!

松たか子さん>流石、着物姿の所作が美しく「戦前の奥様」が自然に見えました。
黒木さんに喰われやすい役なのに、喰わず喰われずでお互いがお互いを光らせていたと思います。
監督の演出力と二人の演技力が上手く噛み合ったのでしょうね。

「女神は~」に続き、しずくさんの記事で良い作品を観る事が出来ました。
感謝!です。
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