おはなしの知恵

2015.01.15 16:25|

桃太郎や白雪姫、花咲爺、かちかち山、七夕のおはなしなど、誰もがよく知っている昔話、伝説、神話は、それぞれに人生の知恵を持っている。そんな「おはなしの知恵」を、臨床心理学の著者が新鮮に読み解く。
 
ヨーロッパの昔話は、グリムなど若い男女が主人公となり難関を次々に突破してラストは結婚でハッピーエンドとなる展開が多い。それに比べ日本は「昔昔、おじいさんとおばあさんがありました」で出だしが始まるように、老人が登場する率が高く、外国の学者からも指摘されているという。
若者が自我を確立していく時、積極的に行動し他と戦って成功する前進型ならば、老人は思いがけない不幸な出来事にこだわらず受け止めて、それまでの知恵と経験で何とかしようとする。
今から老いていく身には灯りが射して来たような心持ちにしてもらえた。
もう一つの驚きは、古今東西に登場する筆者の「継母」の解釈だった。
継母が実子ばかりを可愛がり血のつながらない子に意地悪をするパターンは、読んでいても幼いながら嫌な感じだった。
河合さんによると『白雪姫』も『ヘンゼルとグレーテル』ももともとは実の親子の話だったのを、グリム兄弟が編纂するにあたり、実母がこんなことをするのはあんまりだと継母に変更したという。河合さんは、たとえ実母と子供であっても、時には凄まじい感情が働くこともある。それが人間として当たり前でもあると理解した。『継母』が実母の裏面を演じているだけで、本当は一人の母親だと解説してあった。
子育てを通して子供を疎ましく思う時に自己嫌悪に陥ったが、河合さんはそれを嘆く必要はないと言っていた。子供は母性に潜むマイナスの面に触れ、それを踏み越えることで母親から自立していくのだそうだ。マイナスも必要ー、両方があって母性は本来の働きを遂行できるのだから。
自分の内に時折り湧き上って来る負の感情もそれと同じことなのかもしれない。
微妙なバランスの上に私たちは生きているのだ。落ち込む必要はないと励まされた本でした。
 

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