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第7回 真冬のファンタジー企画 「となり町戦争」

2019.01.20 11:42|映画

2007年


戦争という「業務」で繋がれた“僕”と“香西さん”
「舞坂町はとなり町・森見町と戦争を始めます。開戦日5月7日。」ある日届いた、となり町との戦争のお知らせ。偵察業務に就かされた“僕”は、業務遂行のために、対森見町戦争推進室の“香西さん”と夫婦生活を始める。戦時にもかかわらず、町は平穏を崩さない。かろうじて戦争状態と分かるのは、日々のニュースで発表される戦死者の数だけ。だが、戦争は淡々とした日常生活を静かに侵食していき、“僕”は、知らず知らずのうちに、その戦争の中心にいたのだ。



『となり町戦争』は三崎亜紀による小説が原作となっていて何年か前に手に取ったのですが、中途で断念しています。今回の"ブログdeロードショー”はファンタジー作品。偶然ギャオでやっていて、設定がとなり町との戦争という架空の設定だったのでSFジャンルにもなるだろうと、リベンジも含めて観ました。

戦争は知らないだけで、世界のどこかで起こっていて、見て見ぬふりをしているだけなのではと問いかける作品だろうと受け取りましたが、全体的に真に迫って来なかったというのが感想です。でも、こんな風に変わらない風景の中で平穏な日々が浸食されていくかもと考えるとぞっとします。新聞に毎日何人死亡とカウントされていたのですから。

主人公の北原を演じているのは苦手な江口洋介、舞坂町役場総務課でとなり町戦争係の仕事に就いている瑞希を原田知世が演じています。2人は、潜入したとなり町で、瑞希の書いた業務マニュアルに順じ疑似夫婦を装い日常を送っていますが、ある夜、瑞希が北原の部屋に入って来てベッドを共にするシーンがあり別な展開を予想しました。しかし、後にこれも「セックス欲望処理」という業務マニュアルだったことが明らかになり、恋心が芽生えていた北原は落胆し私も苦笑。瑞希は瑛太演じる弟に対して姉弟の感情が揺れ動くぐらいで、他は人間的な感情を抑制し業務を忠実に果たしている職員でした。オフの時のようなウエーブのかかった髪に愛らしいワンピース姿の瑞希とカチッとしたスーツを着用している彼女の対比で、つかの間見せてあったのかもしれませんが・・・。そういえば弟も姉の雰囲気が少し変わったのは北原の影響だろうと言ってました。

仕事を辞めた北原が戦争推進室業務に戻ろうと電車に乗り込む瑞希を降ろして説得しイイ感じになりかけた時に、次の戦争を告示するアドバルーンが上がるのです。象徴的なラストでした。瑞希はこれからどうするのだろう?

印象に残ったセリフを挙げておきます。

町民が役場の人間に問いただすシーンで「なぜ戦争をしなければならないのか?なぜ隣町の人間と殺し合いをしなければならないのか?」。その質問に役場の人間は「我々は隣町と“殺し合い”は行っておりません。殺し合うことを目的に戦争をしているのではなく、目的達成のために戦争をしていて、その結果として死者が出るということです」と応えています。隣どうしの町々が合併して市町村が減っている現在、『となり町戦争』とは銃撃戦がなくても福祉が行き届かずに死亡するような事例も含まれるのではと思ったりもしました。

戦争推進室室長・室園 を演じていた余貴美子の服装、つき出した胸や身体にぴちっとした短めのスカート、積み上げた髪形のユニークさが目に留まりました。


todoさんに教えてもらいました。

(2016年12月の別冊・文芸春秋に掲載された三崎さん自身の文章から )

「三崎さんの小説って、SFですね」
 大阪の、某書店の書店員さんに言われた言葉だ。
「サイエンス・フィクションじゃなくって、『少し、不思議』の頭文字のSFです」
 うん、言い得て妙だ。
ーーー中略ーーー
「素敵な、ファンタジー」になるかどうかは「すこぶる、不安」なんだけれど、「それでも、奮起して」、「締め切りギリギリまで、踏ん張る」しかない




コメント

おお、ありがたい情報!

> 三崎亜記さんは好きな作家の一人で、ずっと読み続けています。

Todoさんが三崎亜記さんの特別コーナーを設けていらっしゃるのは知っていました。たぶん、ファンなのだろうなぁ~と思っており、まず宿題のレビューを書きあげてゆっくりお話を伺うつもりだったので、コメントを戴き嬉しいです。

> 『となり町戦争』は三崎さんがまだ市役所職員だったころに書いたデビュー作ですね。その為かかなり妙な力が入った感じの作品です。

なるほど、役所職員!(夫もそうでしたから)風刺を感じられたのはそういうことだったのか。

> 三崎さんの作品の多くは、ごく普通の日常に一点だけ何か奇妙な原則や前提を放り込み話を膨らませて行きます。その進め方から私も最初は風刺小説かと思いましたが、どうもそこまでの意識は無いようで、この『となり町戦争』も反戦とか戦争に関する無関心を風刺するものでは無いと思います。

長く読み続けられているからtodoさんには分かるのでしょうが、私のように感じられても仕方ない所はありますよね。京大卒のお二方作家さんにも通じるような男性作家特有の遊び心に真面目な女性陣はついていけそうにありません(笑)。

> 好き嫌いの判れる作家さんでしょうね。投げ入れられた前提を「何でや?」なんて思ってしまうと読めなくなります。ただ、素直に受け入れて、それをどう三崎さんが料理するのかを楽しむ。それと多くの作品に現れる「滅び"とか"喪失"の美学」に共感できれば、好きになれるのでしょうが。

「滅び"とか"喪失"の美学」、ウーンこれにもついていけそうにないかなぁ~

> ちなみに『コロヨシ!!』なんてスポ根風の作品もあります。もっとも「掃除」という競技なのが如何にも三崎さんですが。

「掃除」という競技!? 果たして何でしょう。今から伺います

コメントをありがとうございました

気付いたら2回も企画をパスしていたので、なるべく早くレビューしなくてはと焦りました・・・

> 日本で町同士の戦争が起こるってどういう状況なんだろうなぁ。興味はあるけど最近邦画を見るのがきつくて…。
 
年々洋画から遠ざかりつつある私(笑)
でも邦画は年配男性俳優陣の言葉がなかなか聞き取り辛いですねぇ。わざと字幕にして観るか、性能のいいスピーカーを購入したり工夫しています。

原作で読めなかった本は映画にしてもらえるともう一度チャレンジしたくなったりもしますから、映画化は助かります。
テイストが違う場合もあるので気を付ける必要はありますが・・・。

> タイトルだけではSF作品と気付かなかったと思うので、しずくさんの記事を読めてよかったです!

SFにしたのは強引だったりして(お許し下さいね!)

三崎亜記さん

三崎亜記さんは好きな作家の一人で、ずっと読み続けています。
『となり町戦争』は三崎さんがまだ市役所職員だったころに書いたデビュー作ですね。その為かかなり妙な力が入った感じの作品です。

三崎さんの作品の多くは、ごく普通の日常に一点だけ何か奇妙な原則や前提を放り込み話を膨らませて行きます。その進め方から私も最初は風刺小説かと思いましたが、どうもそこまでの意識は無いようで、この『となり町戦争』も反戦とか戦争に関する無関心を風刺するものでは無いと思います。
好き嫌いの判れる作家さんでしょうね。投げ入れられた前提を「何でや?」なんて思ってしまうと読めなくなります。ただ、素直に受け入れて、それをどう三崎さんが料理するのかを楽しむ。それと多くの作品に現れる「滅び"とか"喪失"の美学」に共感できれば、好きになれるのでしょうが。
ちなみに『コロヨシ!!』なんてスポ根風の作品もあります。もっとも「掃除」という競技なのが如何にも三崎さんですが。

http://todo23.g1.xrea.com/book/wj_misaki.html

No title

タイトルから「ぼくらの七日間戦争」や「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」みたいなタイプかと想像してたら、真面目な戦争ものでしたか。
日本で町同士の戦争が起こるってどういう状況なんだろうなぁ。興味はあるけど最近邦画を見るのがきつくて…。

>『となり町戦争』とは銃撃戦がなくても福祉が行き届かずに死亡するような事例も含まれるのではと思ったりもしました。

なるほど、そういう戦争もあるかもしれませんね。
タイトルだけではSF作品と気付かなかったと思うので、しずくさんの記事を読めてよかったです!
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